こっち向いて笑って、先輩!
「飯田が、教えてくれた」
「えっ?飯田が?」
突然飯田の名前が出てきてびっくりする。
「俺と飯田が体育祭の練習で喧嘩した時」
「あ、うん」
「ビーチフラッグスの練習中、俺が『絶対懸賞取ってやる!』ってほかのやつらと騒いでたら、あいつが突然『懸賞がないとちゃんとできないんだ』っていい出してきて。俺が、何が言いたいんだって聞いたら『任された仕事ちゃんとやらねーやつが懸賞もらうの納得いかない』なんて突っかかってきてさ」
「そうだったんだ……」
飯田、私が一人で頑張ってるの知ってて。
「その時は単純に、こいつも俺のこと嫌いなんだなーと思って、取っ組み合いみたいになってしまったけど。保健室で手当てしてもらってる時に、来原が俺の文句何一つ言わないで仕事してることとか聞いてさ。実際、3年の如月先輩にだってチクれば良かったのに何も言ってねーんだもん。こいつはほかのやつと違うのかもって思ったよ」
「……そんな、私は……」