こっち向いて笑って、先輩!
そんなに綺麗な心でなんかやっていない。
真壁くんのバカって思っていたし、助けてくれない周りにも少しイラついた。
私はそんなにいい子じゃない。
「だから、これは来原にやる。ちゃんと優勝できてよかったわ」
真壁くんはそう言って、乾いたように笑った。
「違うっ!」
「えっ?」
「真壁くんが聞かされたほどいい子じゃないよ!私!ほかの子が真壁くんのことどんなふうに言っていたのを聞いたのか知らないけど、私だって、真壁くんに嘘つかれているの知っていて、それで一人で作業するのはすごく心細かったしムカついた。真壁くんのバカって、思ったよ!でも真壁くんが怖かったから」
言いたいことは正直にいう。
それは如月先輩に言われて決めたこと。
言えばよかったって、後悔したくない。
真壁くんもちゃんと伝えてくれたから。
「……っ、」
「でも、」