こっち向いて笑って、先輩!
「そう……」
「如月先輩は助けて欲しいときにいつも現れるんです。初めて先輩を見た時もそうでした。スカートの時も、今回の体育祭もたくさん助けられて……」
「たまたまだろう」
「それでも!先輩にとってはなんともないことかもしれないけど!私にとっては、すっごく大きいことなんです!」
私が、先輩の目をまっすぐ見てそういった時、先輩はプイッと顔を晒した。
学級旗の色ぬりを手伝ってもらったあの日にしていた切ない顔。
「あっ、ごめんなさい、やっぱり、迷惑ですよね、こういうこと、許可もなくベラベラと」
目をそらされて、突然怖くなって慌てて謝る。
「そろそろ戻るぞ。2人のところに」
先輩は私の言葉には何も触れずにそういうと、スタスタと歩いて行った。
先輩と少し距離が縮まったと思ったら、またすぐに遠くに行っちゃう感じ。
まるで砂浜を行ったり来たりする海の波みたいだ。
私は慌てて、先輩の背中を追いかけた。