こっち向いて笑って、先輩!


「うち、中3の時に親が離婚してて。子供4人育てるために母親が1人必死で働いてんだ」


「……そうだったんだ」


教室にいる時の真壁くんはそういうのは一切見せないっていうか、正直勝手なイメージで、なんの苦労もしたことない人なんだろうなんて思ってた。


いや、私だって、なんの苦労もしたことない小娘なんだけど。


「部活やってた頃は父親がいたけど。流石に離婚してから生活厳しくて部活辞めなきゃいけないよなって思って。親は大丈夫だっていうけど、まぁ、わかるじゃん。負担なんて少ない方がいいんだから。だから部活はしてない。でも、部活に入らなくても、走ることはできるから」


「……そっか」


でも、大好きなことを諦めるって、大好きなことがあるから、辛いこととかなんだって頑張ろうって思えるのに、それができなくなった真壁くんって?


< 173 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop