こっち向いて笑って、先輩！

（side : kazuna）


靴を履き替えて生徒玄関を出ると、視界一面がオレンジ色に染まっていた。


グラウンドでは部活動に励む生徒の姿。


普段ならもう少し早めに帰るはずだけど、最近は体育祭の実行委員の指揮を任されて帰りが遅くなってしまっている。



別にこんな風に仕事を任されることは嫌ではないけれど。


そんなことを思いながら学校の門を出ようとした瞬間。


「あのっ！」


女の人の声がして、足を止めて首を横に向ける。


「あっ、」


声のした方を見ると、門のすぐ横に別の学校の制服を着た女の子が立っていた。


しかも、俺を見るなり「あっ、」と声を出した。


「あっ、」


知り合いか、と思いながらもう一度顔をしっかり確認すると、俺もおもわず声を出してしまった。


それは、俺もその女の子の顔を見たことがあったから。