こっち向いて笑って、先輩!


いや、でも、俺の知ってる彼女はもう少し不機嫌そうで、嫌がってるような顔だった。


一体どこで見たんだろうか─────。


「如月 和那……」


っ?!


俺のフルネームを呟いて、こちらをまっすぐ見る彼女。


あ、思い出した。この子、前に流星が合コンに行ったときに可愛い子を見つけたと騒ぎながら俺に見せつけてきた写真の子だ。


写真の中の彼女は、不機嫌な顔で流星のスマホ画面に映っていたっけ。


それで、そんな彼女がなんで俺のことを?


「あの、親友と連絡が取れなくて。これから一緒に会おうって話してる途中だったんですけど、何か知ってますか?来原 桃って言うんですけど」


っ?!


どうせ助けになれない、そう思って歩き出そうとした時、聞き覚えのある名前がした。


「知って、ますよね?桃のこと」


「……」


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