こっち向いて笑って、先輩!


「とりあえず、来原の教室を見てみる」


さっき履き替えたばかりの靴を再び上履きに履き替えて。俺は初対面の女の子を後ろに、校舎を早歩きで歩く。


まったく、なんでこんな面倒くさいことに付き合わされなきゃいけないんだ。


この間も、来原が1人で学級旗を持とうとしたのを助けたっていうのに。


俺のことが好きだとかなんとか騒ぐわりに面倒ばかり起こすやつだ。


「すみません、探すの手伝ってもらっちゃって」


来原に対して心の中でため息をついた時、後ろの彼女がそう言った。


「……別に、」


何だかんだ、困ってる人がいたらほっておけない。
自分の性格上、この状況だって少なからず自分が原因であることもわかっている。


「危なっかしいんです。我が親友ながらいつもヒヤヒヤしちゃって。変なところ我慢したり人に頼ったり出来ない子だから……なんかあったのかなって」


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