こっち向いて笑って、先輩!
はぁ……何やってるんだ。あいつ。
ふと、教室の後ろに目をやると、塗りかけの学級旗が床に置かれていた。
体育祭関連の作業で、とかではなさそう。
「俺、他のところ探してくるから、君はここで待っててくれない?入れ違いになったら2度手間だし」
「え、でも……」
「校舎のこと、知らないでしょ。君まで迷子になんかなられたらそれこそ大変だから」
「あっ、」
俺は教室に1人、彼女を置いて、問題児を探しに廊下を駆け出した。
ブーブーブー。
ズボンのポケットに入っていたスマホが震えて、小走りのまま取り出す。
画面には【流星】の文字。
「────なんだ」
『お、和那でた。いやぁ、澪南ちゃんから全然連絡来なくてさぁ〜なんかいいアドバイスないかなぁと』
ったく、お調子者なやつだ。