こっち向いて笑って、先輩!
「その子なら今、うちの学校にいるけど」
『は?何言ってんだ?和那。何。お前今走ってんの?澪南ちゃんが学校にいるってどんな冗談だよ』
「俺今忙しいから。気になるんなら自分で確かめれば」
『は、ちょ、和────』
俺は、ブチっと電話を切ってから再び校舎を走る。
どうせそこら辺をフラフラと過ごしてる流星のことだ。こっちにはすぐやってくるだろう。
別に、流星の恋を応援したいとかそんなわけではないけれど、この状況をあいつに知られてしまったら、
それこそ、なんで澪南ちゃんがいるのに俺を呼ばなかったんだ!なんて1ヶ月くらいうるさそうだから。
「ったく、本当にどこに行ったんだよ」
外はもう軽くうす暗い。
あちこち探し回って、校舎の一番端にある美術教室を目掛けて走る。
なんで俺、あんな奴のためにこんなに走ってるんだ。