こっち向いて笑って、先輩!


自分のドジ加減に恥ずかしくなって俯く。


嫌われたくないのに。


「はぁ……」


えっ?


フワッと再び少しだけ風が吹いたので、ゆっくり顔を上げると─────。


「えっ、ちょ、如月先輩?!」


なんてことだなんてことだ。


目の前の先輩は、突然、自分の来ていたカーディガンを脱ぎ始めたではありませんか。


え、こ、これは、一体どういうことなのだろうか。


先輩が、カーディガンを、脱いでいる。


男の人が、脱いでいる。


ここは今、私と先輩の2人きり。


外は少しだけうす暗い。


男女がうす暗い部屋で2人きり、目の前の彼は服を脱いでいる。


はっ!!!


「あ、あ、あ、あの、先輩!私、先輩のことはすごくすごく大好きです!だけどその、そういうことは、えっと、ちゃんと、付き合ってからというか、段階を踏んでからというか……!」


「……おい、何1人で妄想してんの」


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