こっち向いて笑って、先輩!





「あぁ、とりあえず職員室に鍵返しに行ってそれからそっちに向かうから、もう少し待ってて、あぁ」


職員室に向かいながら、如月先輩は野村先輩に電話をかけて要件を淡々と話すとすぐに切った。


先輩が私を助けにきた経緯をさっき、ざっくりだけど説明してもらった。


帰り際、偶然私を探しに来ていたみっちゃんに声をかけられて、先輩が私を探しに来てくれたらしい。


そして、今、なぜか野村先輩がみっちゃん一緒に私たちの帰りを待ってるんだとか。


「鍵、返しに行ってそれから教室に戻るから」


私の顔を見ないままぶっきらぼうにそういう先輩。


でも……。


いくら仕方ないとはいえ、自分の腰に大好きな先輩のカーディガンが巻きついていると思うとニヤケが止まらない。


優しくないとできないよ。こんな人助け。


人の破けたスカートを隠すためにカーディガンを借りてしまうなんて、我ながら大好きな人に何をさせてしまっているんだと頭が痛くなる。



────ガラッ

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