こっち向いて笑って、先輩!
って、いかんいかん!
─────パチンッ
ベランダに出て、旗の前に座り込んでから自分の両頬を手のひらで思い切り叩く。
ダメだ来原 桃!
何をそんなにネガティブになっているんだ!
真壁くんがサボってくれたおかげで、先輩と旗を持てたし、先生が私に雑用をお願いしてくれたおかげで先輩と密室で過ごせたじゃない!
そうだそうだ!
「この旗を立派に完成させて、如月先輩に褒めてもらうぞ〜!エイエイオー!」
「……俺にどうしてもらうって?」
っ??
「れっ?」
後頭部の上の方から声が落ちてきて、思わず変な声が出る。
恐る恐る振り返ろうとした瞬間、ふわっと嗅いだことのある匂いが鼻をかすめた。