こっち向いて笑って、先輩!


「あんなでっかい声で自分の名前呼ばれちゃ、そりゃ『うるさい』って注意したくもなる」


「うっ、で、ですよね」


今すぐショベルカーで穴掘って埋まりたい。


「でも……」


「へっ、」


「言ってなかったから」


恥ずかしくてみれていなかった先輩を見ると、そっぽを向いてボソッとそう言った。


「美味かったって」


「っ、え、、、」


『美味かった?』
『うまかった?』
『ウマカッタ?』


「せせせせせ先輩!もしかして、マフィン食べたんですか?!」


あまりの衝撃発言に私はベランダのコンクリートにしりもちをつく。


「もしかしてって、俺に食べさせるためにくれたんだろ?一緒に入ってたメッセージにもそう書いてた」


っ?!


メッセージ?!先輩が読んだだと?!


いや、もちろんそのつもりなんだけど!
先輩に食べてもらうって言うのが目標で、必死に作ったけど!





< 98 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop