私と結婚してください。
なーんて会話をしてればすぐにつく。
歩行者天国への入り口。
……こっからは歩きだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫!すぐそこだしね。
行こ!」
すぐそこ。本当にあと数分。
……だけど、混んでるなぁ…みんな学校が終わって遊びに行く時間だもんな……
私は部活ばっかしてたからあんまこういうとこ出掛けたりもしなかったなぁ…
「気を付けろよ?」
「気にしすぎだって~」
すんごい心配性だな。でもこの優しさがいつもとは違って好きだ。
「速水、ありがとね。」
「……高梨が素直だと調子狂うわ。」
「じゃあ二度と言わないわ!」
「はは、冗談冗談」
なんて、軽い会話が弾むと私の足取りも軽くなる。
よっ、と松葉杖を前にだし、次の一歩を踏み出そうとした瞬間
「わっ…!」
私のついた杖に、誰かの傘がぶつかった。
おもいっきり杖に体重をかけていたのに、傘にぶつかっただけで杖は前へとつき出されて
重力と勢いによって、私の体も前へと倒れていく。
「高梨っ!」
そんな声が聞こえる中、私の体はきれいに前へと倒れていく。
……けど
「わっ…」
突然飛び込んできた腕に間一髪助けられた。
この腕に、私の体は支えられ、倒れることなく包まれた。
「こんなとこでなにしてんだよ」
低いトーンの声と人を寄せ付けない負のオーラと一緒にね。