私と結婚してください。
━━プルルル…、プルルル…、プルルル…、
部屋にこもって10分、凰成の部屋に鳴り響く内線の着信音。
いつもならすぐに出るのに、いつまでたっても凰成が出ないから
「………はい」
仕方なく、私は凰成の部屋まで行って内線の受話器を取った。
凰成の機嫌も最悪、空気も最悪だ。
『あ、事務ですが
高梨さんにお客様です。』
「え、私ですか?」
『はい。
神楽は許可なく通すことはできませんので、神楽入り口まで来れますか?』
「……わかりました」
…これは、仕方ないよね…?
だってお客様だって言ってたし……
「…誰か来たいみたいなので行ってきます」
それだけ言って、返事は待たずに部屋を出た。
もう凰成と一緒にいるのが辛い。そういうレベルで今、あいつは怒ってる…
……結局は私の自己責任なのにさ…
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「あ、希依ちゃーん!」
使っていいのかわかんないけど、もう疲れたからエレベーターを使用した。さすがに。
そしてエレベーターが一回にたどり着いた瞬間、かわいい声が聞こえて前を向けば
「あ、玲子さん……」
あの、玲子さんが立っていた。
「えと、私でよかったんですか…?」
「うん、私は希依ちゃんに用事があったの!
とりあえず座って?大変でしょ?」
そう促され、私は玲子さんとソファへ座った。
……入り口にソファってのも変な話だけど。学校なのに。
「凰成、怒ってたね。」
「え?…もしかして、見てました?」
「あ、うん。ごめんね。
実は伊織や頼たちも近くにいたんだ。」
「……一緒に出掛けてたんですもんね」
「うん。
ごめんね?希依ちゃん来れなかったのに…」
「……いえ、気にしないでください。
あの、それより用事って…」
「あ、これ!
凰成これ忘れてったからさー、希依ちゃんに持っていってもらいたくて!」