私と結婚してください。
「無断外出の約束を破ったのはあなたへの反抗ではありません。
ただ、俺らと遊ぶのが楽しかっただけ…
…いや、希依と外に出るのが楽しかった。
ただそれだけのことなんです。
それがそんなに悪いことでしょうか。
自分の知らない世界を教えてくれる希依は、俺らにとってかけがえのない存在です」
「そうか。
吉良くん、君の話はよくわかった。
確かに、そういう存在も大切だな」
「……だったら」
「でもそれは、希依さんでなくても務まることだ。
今回はただそれが希依さんだったってだけ。
そんな代役はいくらでもいる」
…でも、やはり相手は大人。
一枚も二枚も向こうの方が上手だった。
「…確かに、その役目が希依だったってだけです。
でもそれでも今となっては希依でなきゃだめだと思うんです」
「頼の世界を広げてあげれば、そんなことはどうでもよくなる。
今、神楽という狭い世界で生きてるからそう思うだけだ。
これからの出会いで、きっと同じようなことは起きていく。
それで十分じゃないのか?
それとも、これからの出会いにそういう可能性はゼロだというのか?」
その言葉に、凰成もなにも言えなくなってしまった。
本当、その通りなんだ。
世の中、私みたいな存在はたくさんいる。
むしろ私みたいな存在のほうが世の中多いはずだ。
それなのに、私にこだわることないんだ…
……でも、でも…
私にだって、絶対に頼くんは必要なんだ!!
頼くんの代わりなんて、この世に存在しないから。