社長、僭越ながら申し上げます!
「眞山です…」

「どうぞ」

社長の声がして恐る恐る入室すると

中には…秘書課の課長と主任がいた

「社長ご説明ください!
なぜ眞山さん、この眞山さんなんですか?」

金切り声で私の名前を私を見ながら呼ぶ秘書課主任
それを課長が宥めている

「いや、ほら、社長たっての願いなんだよ…」

「だっ…社長の大事な秘書ですよ?」

二人がヒートアップしてる後ろで
社長はとくに表情を変えず…やや冷ややかな顔で
資料をペラペラと捲っていた


私はどうして良いか分からずに立ち尽くしていると
社長が私を手招きした

「乃菊、おいで」

「は、はい…」

デスクの前に立つと社長は私に資料を渡した

「相山さんもこちらに」

同じように社長は主任にも資料を渡した

「では、読んでください」

「え…はい」

私は手にした資料を眺めた
店名、商品名、売上などが並ぶ資料だ

(フムフム…)

1分程たった辺りで社長が私と相山主任から資料を
集めた

「では、乃菊…売上上位10位店舗名を挙げて?」

「はい、D社、TYZ社、続いて…」

見てすぐに並んでいた会社をスラスラと私は答えると
社長は満足げにこちらを見た

「相山さんは?」

「い、1分では覚えられません…」

下を向く相山主任

「これは1つの理由だけれど、
眞山さんは記憶力が優れていてね…
それもかなり短時間でかなりの情報を把握できる…
…中途採用の試験でもそれは証明されているんだ」

「そ、そうでしたか…」

「スケジュールや人間関係を把握する秘書には適任だと思うんだけれど?どうですか?」

私に話すのとは違う冷たい声

(これがナナが言ってたクールな社長…)

「は!はい…失礼しました…」

相山主任は足早に社長室から立ち去った

しっかり私を横目で睨みながら…

その後秘書課長も頭を下げて出ていくと
社長は私に笑顔を見せた

「乃菊、自分が呼ばれた理由…分かった?」

「あ、確かにそういう記憶力は役に立つかもしれませんよね!良かった…」

「え?何が…」

「美貌もない、役立たずの私が何故なのかと思ってたんです」

理由があって安心した



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