気まぐれ猫くんの手懐け方

「…私、猫くんのこと、なんとも思ってないから」


「………」


………は?

なんとも思ってないわけないじゃん。

なんとも思ってない奴にキスされて、そんなに動揺してるなんておかしいでしょ。

こんなの、ハッタリに決まってる。


日頃の仕返しのつもりのはずだ。

なのにどうしてだろう。

さっきまでの余裕が、いつの間にかなくなっていた。


「……ねえ」



今までずっと目を合わせてくれなかったのに、すぐにこっちを見てくれた。

その行動で、明らかにハッタリだと気づいた俺は、また余裕を取り戻す。



「どっちが先に惚れるか、賭ける?」



こうなったら、どこまでも俺の気まぐれに付き合ってもらおうじゃん。






…………な。

陽愛。




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