気まぐれ猫くんの手懐け方

「や、ごめんね、私もちょっとぼーっとしてて」

「何か考え事か?」

「え、あ、ええっと…その、猫くんの飲み物について…」


私がそういえば、玲央くんの顔がみるみる歪んでいった。


「あんなやつの飲み物のこと考えてどうしたんだよ?」

「い、や…ひょんなことから猫くんの飲み物をこれから買いに行くことに…なりまし…て…」


こ、こわい。

玲央くん、顔、怖い。


「はあ!?なんだよそのパシリみたいな扱い!!!」


マジであいつ許さねえ!!と、ギリギリと音が鳴るくらいに拳を握りしめた玲央くん。


「いや、コレには海よりも深い訳が……」


基本的には自分がまいた種だし…。

…それにしても、玲央くんと猫くんて本当に仲が悪いんだなあ…。

体育祭のあとから、少しずつ仲良くなったと思ってたけど…。


「そんな奴のことなんてほっといて、俺と飯でも食わねえ?」

「いやあ、そうしたいのは山々なんだけど…って、え??」


気のせい?

今、玲央くんからお昼に誘われたような…?


「だよな!じゃあまたあとでな!」


今なんて?

そう聞こうとしたけれど、それより早く玲央くんは教室を出て行ってしまった。


「…何だったんだろう…?」


首を傾げて、少し考えていた時。

待ちくたびれたようにして不機嫌をあらわにしている猫くんが頭の中に浮かんできて、急いで自動販売機に向かった。



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