気まぐれ猫くんの手懐け方

それは、夏休み前のある放課後のこと……。



「……そっかあ、お前ら、付き合うことになったんだな」


私たちは、玲央君に付き合うことを報告した。

玲央君は、そっかそっかと何度か呟いた後に、笑顔で私に言った。


「まあ、つらくなったらすぐ俺の所に来いよな?」

「は? バカなの? ありえないから」


すかさず猫くんが反応する。


「おい三毛、陽愛のこと泣かせたら許さねえからな」

「泣かせない。 絶対」



玲央君と、バチバチと火花をちらつかせながら言い合いをしている猫くん。

そんな猫くんの言葉に、いちいちドキドキしてしまっているなんて、猫くんは思ってもいないんだろうなあ。



「おい陽愛、本当にこんなチビでいいのか?」

「泣かすよ? 犬っころ」



玲央君が、呆れたように私を見てそう言ってくるから。

私は軽く顔を横に振った。



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