気まぐれ猫くんの手懐け方

***


「うわ、すごい人……」


会場は、早くも多くの人で賑わっていた。


「猫くんどこだろう……まだついてないのかな…?」


なるべく人の邪魔にならないよう端っこに移動しつつ、きょろきょろと猫くんを探していた。


「おーい」

「っ」


突然、後ろから声をかけられ、おそろい手振り返ると。


「あっは、本当に浴衣着てきてくれたんだ」


嬉しそうに笑う、猫くんがそこにいた。


「え、う、うん……」


そう言う猫くんも、ちゃんと紺色の浴衣を着てきてくれている。

……こんな姿もお似合いだなあ……栗色の髪が良く映えてる。

しかも、ピンクのピンまでしっかりしてるし。


「ご、ごめんね、待たせちゃったよね」

「んーん」


猫くんは、下を向いた私の顔をすっとのぞき込んでくる。



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