気まぐれ猫くんの手懐け方

ピンクの大きなピンは、太陽に照らされてピカピカと輝いている。

華奢な彼の体を、大きめのジャージが包みこんでいて。

その指先まで隠れてしまいそうだ。

…つまりなにが言いたいかというと。


「…っ、萌え袖かわ………!!!」

「はあ?」


つい口に出してしまった私を、さらに不機嫌そうに顔をしかめながら見てくる猫くん。

ごめん!!と全力で頭を下げようとしたとき。


トラックの方から歓声が聞こえてきた。


「あ、800mリレー終わったみたい!!」

「親友のゴールを見届けないとか最低な親友だね」

「や、それは猫くんが…!!!」


あまりにも可愛いお姿での登場だったから!!!

…なんて言えるわけもなく。



< 27 / 273 >

この作品をシェア

pagetop