ねぇ、顔を見せてよ
(くー!幸せ!くー!サイコー!)

暫くして紅子が胸をポコポコと叩き始めたので
仕方なく唇を離す

真っ赤な茹でダコになった紅子が肩ではあはあと息をする

「た、た、た、巧くん!ここ外!ダメ!」

「じゃあ中いこ?二人きりになれるとこ!」

そんな風に屁理屈を捏ね、抵抗するかと思ったら

…紅子はあっさり頷いた

「うん。早く…行こ?」

(へ)

「いいの?」

一応お伺いを立ててみる…

「うん、私も早くナカヨクしたいなぁ…なんて?」

予想もしない言葉を呟いて
可愛らしい顔でほんのり色気を漂わせた艶やかな唇で誘う

「っ!!」

(この無自覚天然小悪魔!!!)

「帰ったら…離さないから覚悟しときなさいな…」

「…え?わっ!おろしてー!!」

「うるさーい、強制連行だ!」

絶対オレも顔が赤いから、誤魔化すように紅子を抱き上げて車に連行する

(車で来といてよかった…)





帰宅した部屋に入るなり…ね?

いや、ナカヨクしましたよ…その後は1日中ね…フフ


スースー横で寝てる紅子
寝顔をみながら幸せだなーと1人ほくそ笑む


スマートフォンに、『ちゃーんと目の前で』
追跡用アプリを入れてみたり

会社で近寄りそうな男たちに睨みを利かせる意味で
寝ている紅子の首筋に赤い華を無理矢理散らし近づくやつには牽制になる痕を残してる

(オレのもの!)

なんて子どもっぽいことをして独占欲を紛らわしているのを紅子は知らない…はず

とにかく

可愛くて、真面目で優しくて、自信がなくて
プルプル震えながらオレを見上げるハムスターみたいで
だいぶ天然なキミが

オレは大好きです


fin

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