愛すべき、藤井。


「もっと情熱的に終わりたいんだよな。フィナーレだぞ?客席をワッと沸かせてくれねぇと」


顎鬚を擦りながらウ〜ンと唸る先生にそんなの知るか!!なんて思いながらも、

もちろん、やるからには成功させたいとは思っているし、いいものにしたいとも思ってる。


でも、先生が言う


『気持ちを込めて抱き合え』とか『もっと感情的に』とか。そんなのは、本当に想いあってる2人ってわけじゃないんだから、無茶だと思うわけ。


文化祭の演劇だよ?俳優じゃないんだからさ。


「ねぇ、藤井」

「あ?」

「どうしよっか?」


教室の中心、とりあえず前に出で見たのはいいけれど、とても先生の期待には答えられそうにない私たちは、お互い向き合ったまま見つめ合い、とりあえずプチ会議を決行。



「どーすっかなー。……俺、今感情的に夏乃抱きしめたら絞め殺すかもよ」

「は?やめてよ、縁起でもない。こんな可愛い夏乃ちゃんに一体何の恨みがあるわけ?」

「可愛い?どこ?どこに可愛い子がいた?」

「おっま、藤井しばく!!まじでムカ」



───グイッ


「っ……、!?」

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