愛すべき、藤井。



────ギュッ



「え……」

「今度こそ俺のものになれ。一生、傍にいろ」

「……っ/////」


突然、私を引き寄せた藤井の腕が私の腰に回されて、そのままキツく抱きしめられる。


あまりに突然過ぎて声も出せなかった。


耳元で囁かれた藤井らしからぬ甘い言葉に、
香る、藤井の匂いに……


ドキドキとうるさいのは、私の心臓なのか……それとも藤井の心臓なのか。目を見開きながらただ藤井を見上げることしかできない私に、


私たちを傍観している他の役の子たちが「キャー」とか「ふぅ〜」とか色々言ってるのが聞こえてきて、益々私の顔は熱をもっていく。


私を抱きしめて甘いセリフ吐いときながら、藤井はどことなく余裕そうな顔で私を見下ろすから、その顔にまた、どうしようもないほどドキドキしてしまう。


「……おい、セリフ」

「え……?」

「え?じゃねぇ、せっかく雰囲気作ってやったんだから、早く続きのセリフ言えよ」


小声で私に呟いた藤井に、そうか!さっきのはセリフだったのか!って!!いや、そりゃそうか!!

いきなり藤井が自発的にあーんな甘いセリフ吐いたら気持ち悪いもんね!

なんていまさら全てを理解した私は、慌てて続きのセリフを思い出そうと頭をフル回転させてみるけれど、


でも、でもさ?藤井が不意打ちでこんなことするから、


「どうしよ……セ、セリフ飛んだ」

「はぁ?」
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