愛すべき、藤井。
だって、諦めよう諦めようって思うほどに、どんどん藤井を意識してしまう気がするから。
もうこの際、とことん藤井を好きな伊藤夏乃でいよう。
もちろん、藤井に伝えるとか、
アタックする……とか。
そんなことはせずに、ただ、藤井への気持ちがなくなるその日まで、ひっそりと藤井を想っていよう。
あー、でも。
藤井に好きな人とか、彼女とか……もしそんな人が現れたその時に、笑って応援するよって言えるくらいに諦めがついてたらいいな〜とは思うけど。
「立花くん、お待たせ」
「おっす……って、なんかオマケもいるし」
校門前でやっぱり逆ナンされていたらしい立花くんは、女の子たちに軽く手を上げて私の元へとやって来た。
「ごめん、今日は藤井も一緒でいい?」
「うぇー。俺的にオマケはいらなかったけど、まー仕方ないか」
「っ!つーか元はと言えば、お前がオマケだろ?俺と夏乃は元から一緒に帰ってたんだから」
藤井を見て冗談っぽく嫌そうな顔を見せる立花くんに、負けじと藤井も言い返す。
この2人、仲がいいんだが、悪いんだか分からない。
私を真ん中にして、歩き出した立花くんにつられるように私と藤井も歩き出したけれど、立花vs藤井はまだまだ終わることを知らなかった。