愛すべき、藤井。
「だって、俺と夏乃は付き合ってるんだから、明らかにオマケは藤井だろ?」
「……っ、いつの間に名前呼びになってんだよ。やめろキショい」
「付き合ってんだから普通だろーが」
「付き合ってる付き合ってるって、フリだろ!フリ!!馴れ馴れしいんだよ、立花は」
私を挟んでお互いあーでもない、こーでもないと繰り広げる2人に、私は何だかよく分からなくなって1人前を見据えて歩く。
チャラ男とニブ男の口喧嘩に、私を巻き込まないで欲しい。軽く私の取り合いが繰り広げられてるような錯覚に陥るじゃんか。
「つーか、夏乃に言われるならまだ分かるけど、藤井くんは何の権利があってそんなこと言うわけ?ん?」
「夏乃が隙だらけだから俺なりに心配してんだよ!」
「はぁ?私は隙だらけじゃないよ、全然!」
藤井が私の頭をコツンと小突いて「もっと危機感持てバカ」なんて言うから、ムッとして言い返す。
「それを言うなら、藤井はもっと敏感になれよ」
「はぁ?何意味わかんねぇこと言ってんだよ」
サッパリ分からないとばかりにキョトン顔を披露する藤井に、なんとも言えない気持ちになるけど、仕方ない。
何度も言うけど、これが藤井だ。