愛すべき、藤井。
「ったく、こっちの気も知らねぇで」
「藤井、明日の朝はいつもより早く迎えに来てね?朝リハやるって言ってたの、忘れてないよね?」
ようやく家の前。
3人で自分の家の前に立ってる今の状況が、思いのほか不思議で、しっくり来ない。
「おう。いつもより30分早く迎えに来る」
ニッと藤井が笑うのを見て、私も頷いて笑って見せれば、それを見ていた立花くんが嘆く。
「は?もしかして毎日朝から2人一緒なわけ?酷くね?俺、初耳」
「アホか、これが俺と夏乃の通常運転だ」
「あ、そう言えば明日 文化祭だって言ってたもんな〜夏乃」
「そうそう。暇なら立花くんも遊びに来て」
明日は土曜日。
他校生もきっとわんさか来るだろうし、新しい出会いとかあればいいな〜。なんて、昼休みにうめと話したのを思い出した。
私の言葉に「暇だし行こっかなー」なんて呑気に答える立花くんと「来んじゃねぇ」と嫌そうな藤井。