七瀬クンとの恋愛事情

古坂が指差した方向はラブホ街だ


「………は?冗談だろ?」

「本気っ、ワンチャンで諦めるから」

俺のジャケットをギュッと掴みながら真面目な顔して見上げてくる


自分からとんでもない事言っといて震えてんじゃねぇか
ワンチャンって女が言うか?
1時間だけってのもまた生々しいが

「お前なぁ………」

「お願い七瀬、シタら絶対諦めるからっ」


騒然と人が行き交う道の中で、まさか女からホテルに誘われるとは
しかも会社じゃ才色兼備だと持て囃されてる女が

逆に後が怖いわ………
こいつ、キャラ変えてきたのか?

「………………」


簡単に引かなそうな雰囲気に、仕方なく息をついた

「わかったよ」

「えっ……」

「ヤルんだろ?どこにする?」

こうなったら、ちゃんと言い聞かせてやる

向こうにあるラブホ街に視線を向けながら、少し力を入れて古坂の腕を掴んだ


「七瀬っ」

覚悟を決めた訴えだったのか、その俺の答えに、一瞬嬉しそうな顔をした



「ただし、一回シタらその後一切俺に喋りかけんなよ」


「………えっ?」

どうゆうつもりでワンチャン望んでんのか知らないが、俺はそう言って古坂の顔に詰め寄った


「会社も、出来れば辞めてくれるか?俺、後が面倒なのとか御免だから」


そう言うと、その顔がだんだん青ざめていく


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