七瀬クンとの恋愛事情
聞きたくもないのに、作った本人(社長)がさりげなくそう言って、時々綾子と会ってみないかと促してくる
「昔はあんなに仲良しだったのにな」
「………会わないんだから仕方ないでしょ?
綾子だって子育てで忙しいだろうし」
今や社長夫人だが会社に顔を出す事はない
それでいて、いまだに会社に居座っている私をきっと快く思ってはないだろう
私達のワダカマリは、もう今更なのだ
社長が綾子を選んで私は別れてここで仕事をしていると言う事実だけ
「変わったよなぁ、いろいろと。会社とか社員とか………倫ちゃんも」
珍しくいつもよりスローペースで飲んでいる高科課長が相変わらず私の頭を撫でる
「私も?」
思わず首を傾げると、クックッと笑い出した
「入社当時の倫ちゃんは、ゼンマイ仕掛けみたいだっただろ?」
脇谷くんまで課長の言う事に頭を下げる
「えー、ひどぉっ」
「でも最近は綺麗になったと思うよ、な?」
脇谷くんの方を見てそう言って、更にわしゃわしゃと髪の毛を掻き回される
「課長は全然変わらないっスね」
私が何とか頭のその手を退かそうと格闘している様子に、脇谷くんがそう言う
「変わんないね、俺は」
「…………」
「脇谷は結婚しちまったしなぁ」
「まあ、自分マイペースですから」
確かに、とクックッと笑いがおきる
そのまま入社当時の話とか、久々に止まらない思い出話なんかに更にお酒も進んだ
「松原少し飲み過ぎなんじゃないか?大丈夫か?」