七瀬クンとの恋愛事情

高科課長がトイレに立って、私も気がつけば少し瞼が重くなっていた

「なんだか今日はいくら飲んでも飲み足りない感じでさ…」

ロックグラスの氷の音を立てながらフフッと笑顔を見せる

楽しいお酒に浸っていれば、ここに来る前に見たドラマのようなキスシーンを思い出さずにいられる
いや、あれはそう…七瀬くんに似た人でただの見間違いかもしれないとさえ思えてくる

そんな私の様子に呆れて肩を上げる脇谷くん

「………なぁ松原」

「ん?」

「俺は結構高科課長って本気だと思うぜ」

「本気って?」

意味が分からず首を傾けると、持っているグラスを私の方に向けた

「松原の事好きだろ?ずっと言ってんじゃん」


「…………は?そんなのいつもの冗談じゃん」


そう言ってグラスのお酒を飲み干すと、小さく溜め息をつかれた

「なに?」

「いや……そう言えば松原は七瀬を狙ってるんだったっけ?」

「ぶっ!!」

急にそんな事振ってくる脇谷くんを前に、思わず吹き出してしまった

「な、ななな何言ってんの?!か、関係ないわよあ、ああああんな奴っ」

明らかな同様に舌が回らない

くっ、つい思い出すとキリキリと胸が押し潰されそうになる

脇谷くんは、アレが誰だったのかは気がつかなかったのだろうか?


ここずっと一緒に帰って、家でご飯作って食べたり泊まったりと、まるで恋人同士のような日々は、

ただの私の思い上がりで、おままごとのようなもの
暫くしたら冷める熱


そりゃぁそうよ〜
普段あんなに若くて気が効いて可愛いらしい古坂さんから猛アピールされてるんだから、それをちょっと保留にして、
『いつも食べない珍味へのつまみ食い』みたいな?

私は……『珍味』レベルかぁ
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