七瀬クンとの恋愛事情
「倫子さん危機感なさすぎ」
背を向けて階段を先に上がる下からそう声を掛けられ、私はピタリと足を止めた
「なんでっ………」
一瞬カッと頭にきて思わず振り返ると
じゃあ、一体あんたは何様?!
大体、あんたこそ今までどこで何してたって言うのよっ!
っと言いかけてまた口をつぐんだ
「何?」
私の事ばっかり問い詰めておいて、自分の事は何も言わないんだ
………聞きたいとも思わないけど
フイッと向けていた目を離し、部屋までの階段をまた上がり始めた
「飲み会の二次会は?ずっとここで待ってた訳じゃないでしょ?」
部屋までの階段を登りながら顔を向けずに、何も知らないフリをした
「ああ…うん、倫子さんのメッセージを見てから駅にあるファミレスで時間潰してた。どうせ遅いだろうと思って」
そう応えながら一瞬言葉を詰まらせた七瀬くんに私はゆっくり首を傾けた
「へぇ、そう…」
………そんなの嘘に決まってる。あんなラブシーンの後で『じゃあサヨナラ』なんてあるはずない。
そう言えばなんか、微妙に服が乱れてるみたいに見えるし
適当に遊んできたんだろ
玄関の前に着いた時には、すぐ隣にいた七瀬くん
この時初めてまともに彼と目を合わせた
「…………泊まってくの?」
「終電もうないんですけど、ダメでした?」
時間を見ると、もうすでに23時半をまわっていた
確かに今から駅に走っても間に合わないし、待っていたのに追い返す訳にもいかない
なにより七瀬くんには豊田さんのことで恩がある