七瀬クンとの恋愛事情

したがって、古坂さんのことで私が彼にとやかく言う権利は無いとそう思いながら、それ以上の言葉を胸に押し込んだ



彼を招き入れ、玄関のドアの鍵を閉めて振り返ると、大きな身体に立ちふさがるように覆われ、耳元に小さく息がかかる

「倫子さん」

目の前がふわりと七瀬くんでいっぱいになった
彼の腕が私の肩に回され、キュッと強く抱き込まれると、そっと落ちてくる唇

「…………っ」

咄嗟に顔を背け、それを離すように彼の唇を押さえた

「私お酒臭いし疲れたから、それに今はまずシャワー浴びたい」

「シャワーは、あとからでもいいよ」

押さえた顔がそのまま押し戻されるように近付く




靴を脱いだその場所で、背中に回っている七瀬くんの手が器用に服を上げていく

「ちょっと、待って…」

着ていたブラウスを簡単に捲し上げられる彼の指を引き止めようとすれば、先に掴み取られ簡単に唇を塞がれた


その先へ進む指に身体を捩らせ抵抗はするも、
服の擦れる音と彼の触れる手の感覚に動きを制限されながら、求められていることに気持ちが熱くなる


「あ、」

「ん?」

「………ううん」

思わず声を出したことに、首を振った


それでも今、思い出して胸がズシっと重くなる

大通りで見た彼のキスシーン
足を止めているのが自分だけではない程、周りの人たちを惹きつけていたシルエット



そしてそれがやっぱり現実だったコトにも

私の頰に伸ばした彼の手のひらをみて、その違和感を感じた
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