七瀬クンとの恋愛事情




カタカタと、パソコンのキーボードの音がいつもよりも激しく叩いている割には、何度も書き直してはミスばかりで仕事が前へ進まない


「…………にんっ」


どうしよう、一体どうしたら………

「しゅにーんっ」


別れる?

いや、別れるってそもそも七瀬くんとはお互い恋人として確認し合った覚えもないが

でも………古坂さんも写メを社内一斉送信なんて本気なんだろうか?

普通、好きな相手を陥れるような真似が出来るものだろうか?


「松原主任ってば!!」


「あ、えっ?」


目の前で甲高い声を出す名取さんに、いま気がついた


「名取さん………え、何?」

「言っときますけど、さっきから呼んでたのに何はないですよ、主任もしかして色ボケですか?」


普段、おしゃべりばかりでやる気の見られない名取さんに見下げられながら言われてしまった


「………色ボケって」

さすがに上司に向かってそれはないだろうっ
どう見たって浮かれているとは真逆なのに


「昨日朝の私のミスに関しての、ヒヤリングお願いします。ミーティングコーナーでいいですよね」

午後から予定にしていた名取さんのヒヤリングを、すっかり忘れてた



「何かあったんですか?主任」


「え?」

ヒヤリングをひと通り終えると、普通ならミスに私情があるのではと、少しばかりプライベートな事を聞くことがあるが………

逆に聞かれてしまった

「今日はずっとおかしいですよ、お昼を過ぎてからずっと眉間にシワ寄せて、30過ぎた顔には正直痛いですよ」


「う…………っ」

そう言われてつい、シワを寄らせた眉間に手を当てた

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