七瀬クンとの恋愛事情




「おーい、七瀬こんなとこで何やってんだ?
買い出しは?」



俺を見つけた山下さんに声をかけられ、営業部のデスクの会話がピタリと止まり、彼らの視線がこっちに向けられた

「これからです、ちょっと雨が気になって窓の外が見たくて」


適当な言い訳で、一瞬気まずくなった雰囲気を無視してその場を離れた


「…………」



とりあえず、本来目的の買い出しへ山下さんと向った


雨足はさらに強くなる状況の中、1階ロビーで怯みながらも
傘を深くさし、多少ワイシャツの背中を濡らして買い出しを終え

部署に戻るエレベーターへ乗り込んだ

「…………はぁっ」


つい溜め息をつく
営業部の勝手な噂話が頭から離れず、買い出し中俺はずっと考え込んでいた



「山下さん、ちょっと聞いていいですか?」

濡れた背中を気にしながら、何気に山下さんに話しかけた


「ん?」

「年上と年下だと、どっちがいいです?」

「なんだ?突然、選択占いか何かか?」

俺の質問に首を傾げながら、「そうだなぁ」と考え込む山下さん

「基本年下だが、年上も悪くないよな」

ちょっとニヤっとしながらそう答える


「…………じゃあ、実家が金持ちで将来困らない生活の出来る相手と、一生一緒に頑張っていく相手は?」

「そりゃあ困らない方がいいだろ〜」

今度は即答だ

エレベーターの壁に凭れて俺を見上げながら嬉しそうに答えやがった

俺はその一言にムッと口を曲げた
< 269 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop