七瀬クンとの恋愛事情
「ねぇ、なんで時々『倫子さん』なの?」
今回、こうして2人でいる時間が長いためか、段々そう呼ばれるのにも慣れつつあるが、やっぱり会社でそう呼ぶのは彼だけだ
それも誰もいないところでだけ………
「変ですか?」
「……いや、変じゃないけど、そう呼ぶタイミングが変っていうか……」
その質問に対して、七瀬くんはククッと口に手を当て含み笑いをした
「だって、倫子さんがそう呼べって言ったんですよ」
「へっ?!」
私が?
私が自分からそんなことを言ったんだろうか
「……………」
考え込んでも、自分でそんなことを口にした覚えはない
「覚えていませんか?俺が入社した 最初のころの飲み会の時です。その日の帰り、倫子さんだいぶ酔ってましたよね」
「最初のころ………?」
う〜ん………いつだったか?
「飲まされてましたよ、『後輩が先輩に酒を注ぐのは社会人のマナーだ』なんて言った上司の言葉を鵜呑みにして俺たちが注ぎに来たビールをグラスを空けて飲んでたの、倫子さんくらいでしたから」
あ、そんな時があったかな?
普通飲まされるのは新人男性社員と相場は決まってるのに、たぶん私だけ調子に乗って飲んでた時だろう
「酔った倫子さんの帰りのタクシーを拾い行った脇谷主任を待ってる間、俺に支えられてた倫子さんが言ったんです」
あらら、そんなころから私ったら迷惑かけてたんだ……