七瀬クンとの恋愛事情

「主任はどう思います?! ってどこいくんですか?」

「あー飲みすぎたかな、ちょっとお手洗い」

その話題から逃げるつもりで席を立った






あの日から
七瀬くんとは仕事に関して以外の会話どころか、お互いの案件の接点すらない状態で、挨拶や目を合わせる事さえなくなったのだけど


最近になって一度だけ呼び止められた
残業もそこそこに帰り支度してエレベーターへと向かう途中に「主任」っと声を掛けられた

そして彼の口から聞いたのだ

「一応報告しておきますね
俺、古坂と付き合うことになりましたから」


一瞬、心臓を握り潰されたような気分になった

「……………そっか、うん」

そのまま他には言葉が出てこなかった

「そうゆう事で…」と部署に戻っていく七瀬くん


それは、私が望んだはずなのに、動揺で足は鉛のように重くその場を動けなかった


その後すぐにそのことは社内でも一気に広まったっけ




「あ…」

わざわさ同じ会社の人を避けて宴会場より下の階のトイレにきたのに

「あら、松原主任も今日は来てたんですねぇー」

個室から出たところで、
今一番会いたくない人が鏡の前で化粧直しをしていた
少し赤味がかった頰をファンデーションで整え、お決まりのピンクのルージュをぬる古坂さん

「ええ、高科課長にはお世話になったから
………古坂さんはもう帰るの?」

彼女は必ず帰り際に化粧を直す習慣がある
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