七瀬クンとの恋愛事情

そう聞くと、口紅をポーチへしまった

「はい、課長には挨拶してきましたから
これから二人で抜けようって彼が」

身体を私へと向き直し、それはそれは嬉しそうにそう言う

「私たち、実は付き合い始めたんです」

「………知ってる」

わざわざ七瀬くんに報告受けましたから

彼女の隣で手を洗うと、鏡越しに私の顔を覗きこんできた


「悪く思わないで下さいね、主任。
どうせいつかはこうなってたんですから、これでも私結構努力したんですよ」

「………………」

得意げにそう言う彼女に
別に悪いなんて思ってないし、貴女が彼のこと大好きなのもわかってるから

「そうね……だったらそろそろアレ、いい加減消してくれない?」


「アレって? あーーっあの写メですか?」

前に古坂さんが隠し撮りした私たちのキス写真
私が七瀬くんと別れたら消してくれる条件だったはず
なのに、あれから何度頼んでも一向に消してくれない


「もう必要ないでしょ?あんな写真」

「確かにそうですね」

徐にスマホを操作し、スッと私の目の前にあの時の画面を見せる
まさにそれだ、改めて見せられると思わず手を出してしまうが、すぐに引かれた

「約束でしょ? 今となっては古坂さんの方が立場のなくなる物だと思うけど?」

至って冷静に彼女に言った

「………私思ったんですけど、主任はなんで高科課長と別れちゃったんです?」

スマホの画面を消さないまま、いきなり話を変えてきた
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