七瀬クンとの恋愛事情
向こう側のテーブルでは少しばかり穏やかでいられない人が
「山下、荒れてるなぁ」
「結局古坂さんと七瀬さんが目の前でくっついちゃったんだから、仕方ないですよぉ」
お酒のペースがはやいみたい
「松原主任は、もう大丈夫なんですか?」
「うっ……すみません、お騒がせしました」
さっきはいきなり取り乱した私
その後飲むペースを上げて一旦ハイテンションになったが、ふわりと酔いが回って我に返った
「私もう、そろそろ帰るね…」
飲み会も後半に入り、盛り上がりも最高潮になっている
だから社長や高科課長の挨拶でお開きになる前に、早めの退散を試みた
騒然とする店から出ると、外の冷たい風が肌にしみる
いくら今年が、暖冬だからと言っても冬の夜の風は私の酔った頰をピリッと一気に冷やした
「もう帰るの?」
後ろから急いで追いかけるように駆け寄って来た声に、
振り向いてゆっくりと頭を下げた
「すみません。挨拶もしないで
みんなの手前、声掛けるのもどうかと思いまして」
「水くさいな、もっと堂々としてればいいのに、これからだって会社にいるのは倫ちゃんなんだから」
久しぶりのその高科課長の笑顔になんだかホッとさせられる
「駅まで送るよ」
そう言って私の隣から駅の方に身体を向けた
「えっ、主役が抜けちゃ……」
「大丈夫だよ、だいぶ飲まされたし、ちょっとトイレにこもるって言ってきたから」
確かに少しほろ酔い気味だ
それでもきっとすぐにいない事に気づいて騒ぎになるだろうに