七瀬クンとの恋愛事情
** 七瀬 **


古坂の部屋を出てタクシーを拾って、もう一度高科課長の送別会場へと戻ったが、

騒然と盛り上がっている状態の中、俺は真っ先に彼女を探した


「あれ、七瀬ぇ?帰ったんじゃなかったのか?」

同僚の一人がそう言うと、何人かの視線が一斉に俺に向けられた


「忘れ物か?」


「あ、いえ……まぁ」

キョロキョロととにかくいくつかの人の塊の中
一人一人見渡してみたが見当たらない


「古坂さんは?彼女と一緒に帰ってたのに…」


いないのか?
それとも、飲みすぎてトイレにでも?


「ああ、古坂とはさっき別れてきた」

「別れてきたって?家に?」

ウロウロと何となく移動する俺のそばで同僚の一人がそう言ってくるのを聞き流すように応えながら


「いや、家いってケンカして振られてきたから俺」

あれ?そう言えば高科課長の姿も見当たらない


「……ケンカして別れたって………お前っ」


気がついたら周りからザワッと注目を浴びていて

いきなり目の前に来た山下さんに腕を掴まれた


「この前から付き合い始めたばっかりだろっ!
何なんだよお前はぁっ?!」


結構飲んだのか?
しっかりと掴んだ俺の腕に身体が凭れ掛かる

今日は終始話掛けて来ないで、
俺たちが抜け出した後もきっとずっとクダを巻いていたんだろう
本当にこの人は一途に古坂が好きだったんだ

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