七瀬クンとの恋愛事情

「縁がなかった?それって古坂さんが言ってたの?」

そう聞くと彼女は首を傾げながら小さく頭を振った


「ンんん、別れた理由は聞いても教えてくれなかったんだけど……七瀬さんってさぁ、一見事なかれ的で争い事が嫌いみたいに見えるけど、実はちょっと人を見下してる一面があると思うんだよね。ほら、仕事も出来るし上司の脇谷主任に噛み付くあたり、結構自分に自信持ってて。だからそんなところがプライドの高い古坂さんと合わなかったんだと思うのよ」


「なるほど……要は気性の相性ってことかぁ」


「そそっ、大事でしょう?そうゆう相性って。自分に自信のある男性にはやっぱり従順な女の方が合うと思うわけよ。もちろんアッチの方も♡ね。やっぱりSタイプはM体質じゃなきゃってね。」

だから対等な関係であるふたりは上手くいかなかったんだと悟りきったようにそう論ずる彼女の言う事には、確かに一理ある




「….……でもさぁ」

藤間さんの話を聞きながら止めていた会議のセッティング作業の手を再び再開し始めた名取さん


「あんなに一途に想ってた古坂さんならそんな七瀬さんの前で従順にでもなったんじゃない?」


「………それは」


「確かに初エッチでの性の不一致って言うのは別れの理由に匹敵するだろうけど、あの2人の場合はもっとこう……決定的な何かがあると思うのよねぇ」


「なによぉ、何かって?」


名取さんの話に自分を否定されてちょっと不機嫌に聞き返す藤間さんに小声で語りかける



「まぁ、あくまで私の考えなんだけどのね…………」




                   ****
< 367 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop