七瀬クンとの恋愛事情
「何があったんでしょう?」
彼女を見つめながら、尚もヒソヒソと声を落とす
「お前はそれを俺に聞くのか?若い奴らの今時の恋愛なんか分かるはずないだろ」
「あ、確かに」
「な、そうゆうお前もだろ?!」
すかさず課長からのツッコミがはいる
「ハハハッ………まぁ確かに」
その通りだ
そして、私も彼女と同じように今日あっさりと七瀬くんに振られたようなものだ
「ま、俺としてはこうゆう風に馴れ合ってる方が、好きだけどな」
「ん?」
ニカッと笑いながら、テーブルを挟んで伸びてきた課長の大きな手のひらが、私の頭を撫でてきた
いつもみたいにクシャクシャと掻き回す撫で方ではなく、
ゆっくりと優しく温かいその手が乗った
まあ、この人のスキンシップはいつものことで、気にはしないけど………
「見ましたよぉ〜松原主任」
仕事中に残業集計確認書類を持ってきた総務部の三輪さんが私のブースに入るや否や、口角を上げながら顔を近づけてきた
「な、何?」
噂好きの彼女に言い寄られると、正直良い事はない
「朝、高科営業課長と向かいのカフェでモーニングコーヒー飲んでたでしょう?」
は?
なんとも嬉しそうにそう言って喉を鳴らす三輪さん