七瀬クンとの恋愛事情

「もしかして、昨日から一緒だったんでは?」


なるほど、そうやって貴女はありもしない噂を大きくするわけね

「そんな訳ないでしょ、偶然朝あのカフェにいたら課長が相席してきただけよ」


「本当ですか?失恋の傷は男で癒すって言うじゃないんですかぁ………」


失恋って、豊田さんの話どこまで広がってんだ一体

「ねぇ、七瀬くん」


「………え?」


顔を上げれば、三輪さんの後ろに立っている七瀬くん

「ただ今戻りました主任」


「お、お疲れ様」

一瞬にして瞳孔が開き、その視線を彼から反らしながら、それでいてカキンッと頭の中で金属音がなるように固まってしまう身体

「ね、ね、どう思う?」

私の行動など気にしないまま、七瀬くんを巻き込んだ三輪さんのおしゃべりが続く


「どうって?なにがです?」


受け答える七瀬くんに、三輪さんはまたも
ニヤリと口角を上げる


「松原主任と高科営業課長よぉ。今日仲よさそうにモーニングコーヒーをね………」


やめろってば、このおしゃべり野郎が!!


「どおって、別に?あ、もしかして三輪さん妬いてるんですか?」

「へ?」

思ったのと違う七瀬くんの返答に一瞬困惑する三輪さん

「大丈夫ですよ、三輪さんの方が勝ってますから」

笑顔でそう言われると、返す言葉が見当たらないらしい

すかさず目の前の三輪さんを通り過ぎて私に向いた七瀬くん

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