ヒミツにふれて、ふれさせて。


「…めご、それはちがうよ」


涙も、汗も、鼻水もすべて一緒になるくらい泣いた。そのくらい一生懸命、自分の言葉を伝えた。

…だけど、リョウちゃんは、それを静かに制す。



「…めご、俺はね、男として、お前に一番やっちゃいけないことをしてたんだよ」

「…っ、」


してない、してないよ。そう言いたい。
だけど、わたしがリョウちゃんに色々なことをされてきていたのはホントウのこと。

…だから、否定しきれなくて、でも、否定したくて、力なく、首を振ることしかできない。


「…俺は、お前と付き合って、これからの未来を考えた時も、お前の笑顔を護っていきたいって思ってた。お前が笑顔になれるようにしていきたいって。でも、違った」

「リョウちゃ…」

「俺は、いつもお前を泣かせてばかりだった。お前と離れてからも、目瞑って出てくんのは、お前の怯えている顔と、腫れた顔と、泣き顔ばかり」

「…っ」

「…きっと、笑ってることもあったんだろうけど、最近はどうも、思い出せない」



目の前が、暗くなった。目眩かなと思ったけど、そうじゃないらしい。

視線を左に向けると、傾いていた太陽は、完全に隠れてしまっていた。

目の前にいる、リョウちゃんの顔も、よく見えない。



「めご、助けてくれ…。もう、こんなことしたくない。お前を泣かせたくない、だから、俺と離れて…」


「…っ」


「大切だから、別れたい。お前のことが大切だから、離れたいんだ」





…人と人の終わり方って、こんなカタチもあるって、初めて知った。




< 103 / 400 >

この作品をシェア

pagetop