ヒミツにふれて、ふれさせて。


“別れて” だけじゃなくて、“助けて” “離れて” まで言わせてしまった。

…わたしは、リョウちゃんの気持ちが見えなくて、叩かれるのを必死に耐えて、でも、他の男にも泣きついて。

一体、リョウちゃんの何を見てきていたんだろう。



目の前で、声を震わせて泣いている人。わたしの中で、とてつもなく愛おしい人。

それなのにわたしは、リョウちゃんにここまでの悲しみを背負わせていたんだ。


…そんな人に、わたしは、何をしてあげられるのだろうか。


泣きついて、嫌だと叫んで、リョウちゃんのことを困らせる…?これ以上続けたって、リョウちゃんとわたしの関係は、変わらないのかもしれない。

…変わるかもしれない。けど、変わらなかったら、きっとまたリョウちゃんは1人でくるしんでいくのかな。

わたしが幸せだと、これでいいと感じても、リョウちゃんはそう思わないのかな。

そんな未来は、本当に輝いているのかな。


「…リョ、ウちゃん…」


泣きすぎて、痙攣する喉。ヒクヒクと動くそれを必死に抑えながら、リョウちゃんの名前を呼ぶ。

リョウちゃん。リョウちゃん。




「…リョウちゃん、だいすき…」



わたしが笑えば、リョウちゃんは思い出してくれるだろうか。わたしたちが、本当はもっと、幸せだったってこと。

わたしたちは、本当はもっと、やさしい色に包まれていた2人だったってこと。



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