ヒミツにふれて、ふれさせて。
・・・
誕生日当日は、近海くんが5分だけ遅れて鎌倉駅に到着した。
「家の主が遅れるってどーいうことなのよ」と怒っている茶々ちゃんと珠理。それに対して、「ごめんごめん」と笑っている近海くん。
…そして、昨日の夜からテンションが下がっている、ワタシ。
「ちょっと、めご。いい加減、そのどんよりした空気やめなさいよ」
そんなわたしを見兼ねて、瀬名は肘でわたしの脇腹を押しながら言った。
「いいでしょ、別に。プレゼントはわたしとめごからってことにしたんだから」
「…うう」
わたしはというと、珠理の誕生日プレゼントが決まらずに、当日を迎えてしまっていた。瀬名とそれなりにお店を回ったりもしたのだけれど、納得いくものがなくて、わたしからのものは買えず。
代わりに瀬名が、「なんかミノくん、こーいうの好きそうじゃない?」と選んでいた、バスソルトや入浴剤を2人からということにしてもらった。……女子か?
「とりあえず、これで全員だな〜!ってことで、買い出しに行きますか〜〜」
「ちょっとオーミ。こーいうのってフツウ、主役に内緒でやっておくもんじゃないの」
色々と雑な近海くんに、「アンタはそれだからイマイチモテないのよ」とブツブツ呟いている珠理。それに同意しながら、後ろを付いていく茶々ちゃん。
色々とツギハギだらけな気がするこの集まりも、プレゼントの件を抜いたら楽しそうな予感しかしなかった。
鎌倉駅西口の方に集まっていたから、そこから近海くんの家の近くにあるスーパーまで歩くことになった。
近海くんが先頭に立って、その後ろをみんなで付いていく。わたしは瀬名と一緒に一番後ろを歩いていこうとしていた。
…でも、2、3歩みんなに近づいた、その時。
「………、めご?」
名前を呼ばれる、声が聞こえた。