ヒミツにふれて、ふれさせて。


「なんでって。あんたが帰ってこないから様子を見に来たんでしょ」

「え……、あ、ごめんなさい…」

「…」


申し訳なさそうな顔をする珠理に、小さく息をつく。
いつもより、しおらしい。いつもだったら「迎えにきてくれたのね♡」とか言われてもおかしくないところなのに。

今日は、そうじゃない。いつもと違う。



「…珠理」


左手に付いた、ブルートパーズのブレスレットが見えた。誕生日に渡してから、毎日忘れることなく身につけてくれている。

そんな珠理によって飾られた左手は、姿を隠すようにズボンの左ポケットに突っ込まられていて、出てこようとしない。



「…珠理。ずっと鳴っている電話…、サユリさんからって、本当?」



…本当は、聞くつもりなかった。珠理が自分から話すまでは。

でも、いつもの珠理じゃない、何かに悩んでいるような、不安そうな顔をしながら押し込んでいるその姿を見ると、どうしても声をかけずにはいられなくて。



「……っ、近海から聞いた?」

「うん、さっきクラスで。お母さんが、毎年クリスマスにはアメリカから戻って来るって。何でもないように言っていたから、大丈夫かと思って、聞いたの。ごめんなさい」


本当は、言ってはいけないことだったのかもしれない。そんな思いが急に押し寄せてきたけど、珠理は「ううん」と、首を横に振った。


「めごに、話してなかったのよね。長くなるからと思って、サユリが母親だってことしか、言ってなかったの」

「…」


申し訳なさそうな顔を、重ねてくる珠理。
わたしは、それをもうあまり見たくなくて、ううんと首を振った。



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