ヒミツにふれて、ふれさせて。


もう、ダメだった。

プツンと糸が途切れて、そのままパタパタと涙が溢れて行く。


…あぁ、なんて情けないんだ。珠理のことを守りたいと思っているのに、こんなんじゃ頼り甲斐もないじゃないか。


「…ごめん…っ。ちょっと、待って…」


必死に止めようと、涙を拭った。
おかしいな。もう、全て流してきたつもりだったのに。


…わたしは、もう、こんなにも、珠理のことが大切だったのか。

こんなに、気持ちは積もっていたのか。



「……っ」


そのまま繋いでいたわたしの手は、大きな手のひらによって、ひとまとめにされてしまった。

その代わり、自由になった左手は、わたしの頭の後ろに回って、そのままギュッと、珠理の胸に押し当てられて。

2人で倒れるように、ビーズクッションに沈んで行く。

珠理は何も言わなかったけれど、首だけ持ち上げて、抱き上げたわたしの頭に頰を寄せていた。

しばらくギュッと抱きしめられていたけれど、その後は、こめかみあたりに唇を押し当てられて。

また、ぎゅうっと、身体をしめられた。


珠理の匂いが、すごく落ち着いた。もう、何度も抱きしめられているのに、未だに慣れない。

だけど、ものすごく安心する。



「……はぁ」

「……」


わたしの涙が落ち着いた頃、珠理は静かにため息をついた。

そして、もう一度わたしの頭をくしゃっと撫でると、またギュッと腕に力を加えて。



「……やっぱり、すごい好き…」



そう、静かにつぶやく。



「…っ」


その言葉を察知したわたしの身体は、またまたブワッと体温を上げて。

指の先まで、熱を送り出した。


どくどくと、波打つ心臓と血液。


もう、いい加減慣れてほしいと思うのに、まだまだそういうわけにはいかないようだ。



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