ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…ねぇ、めご」
抱きしめて、斜めに身体を倒したまま、珠理はわたしの名前を呼んだ。
何だろうと思って身体を起こすと、珠理の綺麗な目と目が合った。
その瞬間に、珠理はやさしく笑って。
「ちょっと待ってね」と言うと、そのまま長い腕を伸ばして、ベッドの棚に置かれてあった、写真たてを取り出した。
…裏側を向けて置かれてあった写真たて。
サササっと、ホコリを取るようにして、じっとそれを見た後。
「…これ、誰だと思う?」
そう言って、わたしに見せる。
「え…?」
そこには、小さい男の子が2人写っている。可愛い。小学校中学年くらいだろうか。
でも、その面影は、十分すぎるくらい残っていて、すぐにハッとその答えが分かる。
「…これ、珠理と近海くん…?」
「ふふ、正解」
「ええーっ…」
イーッと、口に指をかけて伸ばしているのが近海くん。その横で、ピースをしている女の子みたいな男の子が珠理。
そう答えると、珠理は笑って、もう一度「正解」と言った。
かわいい。ふたりとも、こんなに小さい時から一緒にいたんだ。そりゃあ、あんなに仲良くなるわけだよね。かわいい。
どちらも今もかっこいいけれど、この時からもう、雰囲気が普通の小学生じゃない。
でも、どうしていきなり、こんな写真。
「…これは、アタシが初めて近海と話した時の写真。同じ小学校だったんだけど、それまではほとんど話したことがなかったの」
「………、そうなの?」
…でも、この時、ものすごく楽しそうだよ。
ずっと 前から、仲良しだったみたいに。