奏でるものは 〜功介〜


翌日、学校へ朝から行った。

授業が終わると、すぐに家に帰った。


今日は通らないかな、と思っていると車庫から彼女が見えた。



さり気なく、よぉ、と声をかけた。


「あ、コウスケくん、今日もサボり?」

茶目っ気たっぷりの話し方。


「いや、今日は行ったよ。だから、制服だろ?」


納得したような表情から、笑顔になって言った。


「そういえば、そうね。学校行ったんだ。エライね」


「みんなに驚かれたよ。……駅まで送るよ」


「え?……あ、うん、いいの?」


ユイカの歩調に合わせて歩き出した。



「あのさ、明日休み?」

「第二土曜日だからね」


「遊びに行かねぇか?」


思い切って、誘ってみた。


「明日?………いいよ。大丈夫。映画でも行く?」

「おう、じゃあ……」

待ち合わせ場所と時間を決めて、念願の連絡先も聞いた。



駅で別れてからも、心がホクホクする。


明日は、決めるさ。




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